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御鷹場通信は諏訪流放鷹術研究所 所長のブログです
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変わらないもの2009年 9月 10日 (木) 14時 11分
 最近アナログの一眼レフのカメラを触らせてもらう機会があり、ジーカシャッという音やフィルムを巻くネジの感触などが懐かしく感じられました。古くても良い物はまだまだ残されているものの、それを大事に使い続けようとするとフィルムや道具代に費用がかさんでしまうのは残念なことです。また手入れや使用法にも知識や経験がいります。
 鷹道具も同様に、本漆塗りや細い藤を割いてくれる職人などを探して頼んだりすると大変な手間と費用がかかります。それを編むのも一苦労です。が、ずっと使うとしっくり馴染むような感触が心地よく、そう壊れるものではないので可能な限りこだわるようにしています。古い物は先輩から譲ってもらえることもありますし、エガケのような消耗品は手作りした方がサイズを調整できて便利です。いずれにしても予算の範囲内で少しづつ揃えたり手作りをしたりする方が無理せずに続けられるだけでなく、その過程を楽しむことができます。
 慌ただしく日々を過ごしていると、毎日見ているようなものでも案外よく見ていないことに気がつきます。ずっと同じように咲いているように見えるムクゲも、朝に開き夜にしぼんでしまうのを、次々に咲くために長く咲いていると錯覚していたようです。変わらない物はありませんし、心さえ移ろいゆくものですが、何かを大切にしたいと思う熱意は、努力次第で維持することができるのではないかと思います。
八重咲きのムクゲ

新宿御苑2009年 9月 09日 (水) 0時 19分
 9月6日、本年の文化講習会を新宿御苑で開催しました。直前のお知らせであったり集合場所が曖昧であったりして会えない等のトラブルがあった為、興味を持って下さった方には大変御迷惑をおかけしました。新宿御苑の正門といえば大木戸門だったのですが、丸の内線に最寄りの門が新宿門であったため、混乱を与えてしまいました。
 新宿御苑が皇室の鴨場であった時期はとても短く、所管の変遷等もあったため、わずかに残されていた人気除けや小土手も削られてさらにわかりにくくなっており、庭園の景色の一部になっていました。日本庭園のそばにあった引き掘もほとんど埋められていましたが、その跡にかろうじて面影を確認することができました。
 新宿駅の近くでありながらビル群が林に隠れてまったく見えなくなる一角があり、都内とは思えないほどの広い空間や大木が生い茂った苑内は、とても涼しく感じられました。都心に残された大切な緑地であり、歴史的に貴重な資料でもありますので、今後もなるべくあまり改装されずに保存されるよう願っています。広い芝生の上で休日をのんびり楽しんでいる家族連れが多く、もう少し開苑時間が延長されるとゆっくりできるように思うのですが、閉苑30分前の午後4時には早々と大木戸門が閉門し、混雑の中で急き立てられるように新宿門から出ました。
引き堀の跡
 残暑厳しい中、すでに猟期に向けて調整を始める者もありますが、私の鷹は塒が明けていませんし、忙しいこともありますので焦らずに来月から始めようと思っています。

チョウゲンボウ据え上げのお知らせ2009年 9月 09日 (水) 0時 07分
 今年の夏に猛禽屋で国内繁殖、育雛されたチョウゲンボウを羽根が伸びきるまで鷹師が預かって世話をし、門下生に渡していました。健康状態が良く、飛び方も自然で羽根をきちんとたたんで食べる姿が美しい鳥でした。門下生が訓練を始めると徐々に力をつけ高い所にとまれるようになり、1か月前、舞い上がったところでカラスに追い回され行方がわからなくなったそうです。このたび無事発見、据え上げることができましたのでご報告いたします。
 雨が降って来て飛び込んだ林の場所がわからなくなり、その後も天気の悪い日が2日程続いたためか、1週間その場所を捜索したものの姿を見つけることができませんでした。すぐに警察に届け出をし、見失った場所を中心に張り紙をして歩きなおも探していましたが、情報を得ることができませんでした。が、STOOPERさんのHPに情報を提供してくださった方がおり、その情報がこちらに来た翌日には場所を確認、翌々日に団地の屋上にとまっている所を見つけ、すぐに据え上げることができました。門下生の自宅から直線でおよそ9〜10km離れていたようです。
 約1ヶ月の間、どこで生活していたかはわかりませんが、非常に元気で据前が呼ぶとカラスに後をつかれても旋回してかわし、悠然と戻って来たそうです。鷹匠の技術が猛禽類のリハビリに役立っていることの証明になりますし、門下生がそれを学んでよく訓練していたことの表れと言えるでしょう。
羽根が伸びかかっている時の様子

東京人2009年 9月 08日 (火) 12時 07分
『東京人』は東京に暮らす人々が築く都市文化を紹介する都会派総合誌として知られ、日本全国ならびに台湾の書店でも取り扱われています。10月号「東京・和の建築を見る」の中に江戸東京に伝承される伝統文化の一つとして鷹匠が紹介されましたのでご紹介させて頂きます。
 4世紀以降、全国に広がった放鷹文化ですが、大和朝廷に渡来したとされる皇室の鷹術を今に伝承する者はすでになく、度重なる戦乱による火災や権力争いによる混乱は、資料の保存のみならず、わざ言語を解読できる継承者やその家柄の存続にも多大な影響を与えたことが察せられます。最も隆盛を誇ったとされる江戸時代の技術でさえ、わずかに残されている程度に過ぎない現代において、江戸に根付いた放鷹文化を文化的、歴史的に取り上げて頂くことで、忘れられた江戸文化の匂いを今に伝える機会となれば幸いです。
 その他、江戸東京たてもの園の中に移築される際に鷹師が復元、設計管理に携わった高橋是清邸や、将軍の鷹狩に使用されたといわれる「お鷹の道」を含めた武蔵国分寺界隈、諏訪神社に代々仕えた守矢家の敷地内にある「神長官守矢資料館」の設計に携わり建築探偵シリーズで名高い藤森照信氏の座談会も掲載されています。神長官守矢資料館は天にそびえる柱に刺さった薙鎌が印象的な美しい建物で、諏訪の地に融け込んだような悠然とした風景が心に残ります。内部では神事の模様などの展示を見ることができます。
東京人10月号 発行:都市出版株式会社

訂正2009年 9月 05日 (土) 16時 58分
忙しさとシステムの不具合等がありまして、更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
 明日の文化講習会ですが、午後1時半とあるのは午後2時半の誤りであることをとりいそぎ訂正させていただきます。昨日の今日にも関わらず問い合わせくださいました皆様に感謝申し上げます。
 昨日は雨が降って涼しく、今日は夏の暑さが戻って来たような晴天で体調の管理が難しい日々が続いており、私が個人的に受講している夏季講習でも新型インフルエンザに発症した人が出ました。昨夜は講習もほぼ終了したため懇親会が行われたのですが、まだ宿題が沢山残っているものの、ぼんやりとした傘をかぶる月の下、卒業式のような感慨に喜ぶ人々を見ていると私もなんだか感傷的な気分になりました。必ず訪れる未来を信じて努力する姿はどんな年代の人でも美しく感じられるように、私もそうありたいと思いました。
ジャコウアゲハ

虫の観察2009年 8月 31日 (月) 8時 50分
 セミほど人前で死んでいる姿が目立つ昆虫はあまりいないのではないかと思います。ひっくり返っている横を通り過ぎると、急に苦しそうに暴れたりして驚かすのであまりその姿が好きではありませんでしたが、潔いという人もいて、夏の儚さに通じるのかもしれないなどと納得しました。彼らは心不全のように急に落ちるのか、それともどこかを悪くして意識のある段階でバランスを崩してしまうのか、これだけ身近にいるのにまだその瞬間を見たことはありません。
 台風の訪れによってだいぶ涼しくなってきましたが、まだ春から秋にかけて活動する様々な虫の姿を見られます。なかでも美しく感じられるのがアゲハチョウの仲間たちで、幼虫がそこかしこにいます。親たちがどこからやってくるのか、なぜそこに餌となる木の種類があることを知っているのかなど、虫についてはわからないことが一杯です。
 最初は気がつかなくてもあっという間に葉が無くなって困ることになるのですが、訪れるということは棲みやすい環境と思っているのでしょう。人に対して毒や害のある虫でない限りは、放っておき眺めるのを楽しんでいます。
シロダモの葉を食べるアオスジアゲハの幼虫

秋の訪れ2009年 8月 29日 (土) 0時 05分
日中の暑さはまだ厳しいとはいえ、夕方からは大分涼しくなってきました。8月はあっという間に過ぎてしまうように感じられます。
 先週、日暮れ近い公園で片足のスズメを見かけました。他のスズメたちに混じったその鳥はとても警戒心が強く、素早く動き回っては仲間から一歩離れたところで人が落とすパンくずやお菓子を狙っているようでした。偶然持っていたパンくずを落としてみると、一番大きなくずをくわえ、それをくわえ直すとさらにもう一つ口にほおばって、走って藪の中に消えて行きました。押さえて食べるのも大変だろうと察せられました。翌日もちらっとその姿を見かけましたが、視線を感じるとすぐに姿を消しました。
 今週に入って、スズメたちの群れは徐々に消えて行きました。あの鳥も一緒に農耕地へ移動して行ったのでしょう。秋の訪れを告げて行ったような気がしてなんだか落ち着かなくなりました。
もうすぐお台場とお別れ

虫刺され2009年 8月 20日 (木) 1時 09分
普段何気なく行っていた鷹道具を扱う動作と他の伝統的な分野に似たような動きがあると、ついうれしくなります。一概には言いきれませんが、伝承されてきた動きには機能的な理由があるように思いました。
 厳しい暑さが続く中、虫や小鳥たちの活発な動きが目につきます。汗をかきつつ動くのも気持ち良いもので、出不精の私でも外を歩きたくなるのですが、あっという間に虫に刺されて足が腫れてしまいました。ちょっと虫よけをしたくらいでは効果がないようで、もしカを媒介とするウェストナイルウイルスが日本に上陸したら真っ先にやられてしまうなぁなどと思っていたのですが、猛烈なかゆさと赤みが残ってなかなか消えません。どうやらブヨも混じっていたようです。ダニやアブよりましながら、かゆいことに変わりはありません。
 カは晩秋まで残っていますが、ブヨはそれほど遅くまでは活発ではないようです。暑いですが、長袖や長ズボンなどもう少し虫よけ対策に気をつけることにしました。
ノウゼンカズラ

盛夏2009年 8月 15日 (土) 1時 41分
 急いで坂道を下っていたら、思いっきり転んで子供のように膝小僧をすりむいてしまいました。絆創膏を買うより前に、破れたパンツの替えを買いに走ったら、絆創膏を買う余裕がなくなり、結局買ったパンツは履きかえずに痛い足を引きずって一日歩いたことがあります。後で考えるとなぜそうしたのか良く分かりませんでした。慌てると、人は時に予想外の行動をとってしまうものではないかと思いますが、暑さのせいかもしれません。
 犬や鷹も動揺したり失敗したりするように、獲物となる小動物にも魚にも、ひょっとしたら植物や昆虫にも生き残れるかそうでないかには経験知が影響しているのかもしれません。生き残るために経験を重ねる前に、失われる命があります。それらは生き残る命の糧となり役に立っていますが、決してそのようなことを考えたり、諦めたりして生きているわけではないでしょう。生き物がすべからくセンスや能力的な個体差、時には運にも影響を受けているとするなら、人間にとっても生きるとは生き残るということなのだろうと感じます。
 命の長さだけで相対的に判断することはできないとはいえ、夏は短い命を連想させる季節のようです。雨が止んだ朝、交通量の多い道路のそばで羽化したばかりのミンミンゼミを見かけました。夏はやはり夏らしい暑さの方が嬉しくなります。
羽化したばかりのミンミンゼミ

実学2009年 8月 10日 (月) 15時 17分
不安定な天候が続いていますが、雨が止むといっせいに鳴き出すセミの声を聞くと、短い夏を有効に使わなくてはという気持ちになります。
 今夏は知人の勧めもあり、大学が実施している社会人向けの夏季講習に参加しています。慌ただしいながら受験時代にはなかった学ぶことの楽しさがあります。植物の名前など、大人になって得た知識が新鮮に感じられるように、無駄なことのようでも寄り道をする余裕が心を豊かにしてくれるように思います。定年後や子育てを終えたような高齢の方々の元気な姿が目につき、若い人より楽しんでいるように見られます。若い時は可能性が沢山あっても迷いが多く、年を重ねると経験により心の幅が広くなっていくのかもしれません。
 評価されていない分野を掘り起こした人々の話は面白く、たとえば歌人で東洋美術史の研究者であった秋艸道人(會津八一)は、「1000の文献より1の実物に触れる方が自分の身になる」と実学の大切さを語り、文化財の価値を理解するには本物に触れることであるという考えから大学内に博物館を創設するという夢を持ったそうです。しかし受け入れられなかったため、自作の歌や書を売って資金を稼ぎ、自腹で当時評価されていなかった中国の明器などを買い集め、最終的にすべて寄贈したということです。
鴨脚子(イチョウ)

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