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御鷹場通信は諏訪流放鷹術研究所 所長のブログです
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動物感謝デー2008年 10月 05日 (日) 2時 12分
 昨年から日本獣医師会が主催して開催されている「動物感謝デー」に今年初めてご協力をさせていただきました。駒沢オリンピック公園は東京オリンピックの際に第二会場となった場所ですが、現在は犬たちの社交場として良く知られています。
 私たちが安全な肉を食べ、ペットの健康を守ることができるのは優れた獣医師の方々の努力のおかげです。人間が動物と関わらずに生きることはできない以上、このような日を通じて感謝の心を伝えるのは大切なことに思いました。
 偶然ご家族でお越しくださった鷹師の友人ユキリョウイチ氏を始めとして、私たちのブースに足を運んでくださった皆様に厚く御礼申し上げます。
ユキリョウイチ氏と

通し鷹2008年 10月 05日 (日) 2時 11分
 日毎に寒さが感じられるようになりました。いよいよ秋も深まりつつあるようです。
 前回も少し触れましたが、鷹の入手について、当保存会ではペットショップなどから購入することも特に制限しておりません。その代わり、門下生に同行する、鷹を選ぶ時の注意点を教えてあげるなどのお手伝いをするようにしています。
 私の場合は海外で出会った鷹匠やブリーダーに直接頼んで分けてもらうようにしています。生まれたばかりや生後数十日の雛の段階で人の手によってインプリント、社会化された鷹は人や環境に馴れ易く、人工繁殖等にも利用できることから、最近では好まれる傾向にあるようですが、可能な限り親に育ててもらうように頼みます。鷹らしい自我や居住まいを備えて欲しいからです。これを人間が教えることは難しく、癖のついた鷹を直すのは時間と技術が必要で非常に骨が折れます。
若鷹
 現在使用している雲路(兄鷹)には1羽で長期間の実演や実猟をこなしてもらったため、負担がかかったこと、また3塒以上の調教が比較的楽になることから今季は新たに若鷹を調教することにしました。少数ながら今期はオオタカの亜種を4種類、共同で輸入しましたので、できれば弟鷹(雌)にしたかったのですが、予算の関係上、再び兄鷹(雄)を使うことに決めました。

廃鳥2008年 10月 01日 (水) 16時 10分
 当保存会では猛禽類や餌動物などの動物の販売はしておりません。このため鷹は海外で繁殖・輸入された個体を個人や共同で輸入する、その個体から国内で繁殖された個体を分けてもらうなどしています。餌の確保が難点ですが、これも廃鳥などを融通してもらっています。
 鷹を飼うようになって初めて、食物のありがたさを感じるようになったように思います。また「廃鳥」というものがそれほど年を取った鳥ではないことも知りました。人間のために卵を産むニワトリやウズラなどの家畜は、卵の産みが悪くなった時点で廃棄されます。人間も同様かもしれませんが、ウシやブタも長く生きれば肉が硬くなり、病気にかかる率が高くなります。新鮮で柔らかい肉や安全な卵を欲しいと思えば若い個体を選ぶようになるのは自然な要求ですし、生産者もその要求に応えるものを作るようになるでしょう。
 欧米など鷹狩の盛んな地域では、餌となるウズラなどを専門に殖やしている業者もあるようですが、日本でも愛好者が増えればそのような生産者ができるかもしれません。
アブダビの小鳥屋で見かけたイワシャコ
 生きとし生ける者の生活は殺生によって成り立っています。虫を捕ったり、魚を釣ったりすることも同じであり、野菜を作るためには害虫を駆逐しなくてはいけませんし、ただ生活するだけでも家の中外に駆除しなくてはならない生物がいます。消費者は自分の代わりに誰かが食物を加工してくれていることを思い、生産者は食べてくれる誰かのことを思って作れば、罪悪感ではなく、互いに感謝をもって食物を無駄にせず、大切にいただけるようになるのではないかと思います。

表現する鷹2008年 9月 26日 (金) 3時 19分
夏の終わりは疲れを呼び込むようで、何となく身体がだるくなったり重く感じられたりします。このような時には映画を見るなどして休息を取るようにしています。
 鷹が出てくる映画の中で最初だったかどうかは覚えていませんが、最も印象的で好きな映画の一つである「レディホーク」(1985年)を久しぶりに見直してみました。騎士に扮する若き日のルトガー・ハウアーの雄姿や広大な風景が美しいファンタジーですが、使用されているタカ(アカオノスリ)が次第に神経質になっていくのがわかり、最初は頻繁に飛ばして拳に呼んでいたのがだんだん飛ぶ姿だけになり、最後には頭巾をかぶせて据えられるだけになるのを見ると、鷹の苦労が察せられてしまいました。もちろん何羽か用意しているはずですが、カメラの接写や何度も繰り返される撮影にストレスを受けてしまったのでしょう。鷹を始める前に見た時は楽しかった話が、なんとなく別の作品のように感じられてしまいました。
 最近は映画やCMなどに猛禽が使われる機会が増えたように思います。撮影技術の向上とともに、モモアカノスリなど扱いやすい猛禽の発見、鷹匠技術が広く生かされるようになった影響などが考えられます。
モモアカノスリ (c)Okirakubirder2

秋の支度2008年 9月 18日 (木) 4時 54分
 イチョウの青い実が目立つようになってきました。葉が色づき銀杏が熟れて落ちるのはまだまだ先ですが、秋の気配が近くに感じられます。
 11月の猟期に備えて1〜2か月前から調整に入る方もいるかと思います。当保存会では日本に伝承される鷹匠の技と心を知っていただくため、活動の一環として鷹狩にゆかりのある文化遺産や施設で放鷹術の披露を行っていますので、異なる2つの目的のため鷹を調整する必要があります。いずれにおいても鷹匠にとって能力を試される場であり、鷹に意識の違いはありませんので、常に真剣に臨むよう心がけています。
 年々多様化する要望や環境に対応して、いかに見せられるかを現場の状況を見て判断し、可能な限り鷹本来の能力や生き方を理解していただけるように計画するのですが、鷹師は下見の段階で何をどう見せるかを頭に描くことができるようです。瞬時な判断にも狩場における経験や鷹の動きを知っているということなどが生かされるのだと思います。
イチョウの青い実

塒出の鷹2008年 9月 15日 (月) 13時 42分
 まだ蒸し暑い日が続いていますが、夜は比較的過ごしやすくなりました。夏の終わりの蚊は必死に種を残そうとするためか、しつこくまとわりつくうえ、刺されると非常に痒くなるような気がします。
 今年の鷹の塒は順調なため、早く塒から出ることができそうです。塒出の鷹の生まれ変わったような姿は、それを名にした梅もあるほど美しさの代名詞となっています。いずれ日焼けして色あせたり、羽根が傷んだりしてしまうのですが、できる限り傷めないように飼うのが鷹匠のこだわりでもあります。特に年を経た鷹の方が若い鷹より脂がのっており、ツヤツヤして水をはじくようです。鷹が塗った脂によって羽根の表面が粉をふいたように見える様を、花見先生は塒霜(とやじも)と言うのだと教えてくださり、「塒を重ねるほど塒霜が美しく見える」と良くおっしゃっていたのを思い出します。
 私の鷹もできるだけ塒を重ね、美しくなってもらいたいと思います。
塒出間近の雲路

鷹絵額を鑑賞する2008年 9月 11日 (木) 22時 38分
当保存会では鷹匠の技と心を学びたい方々を門下生として歓迎しておりますが、放鷹文化全般について興味がある方々との交流も積極的に行っています。
 今年の文化講座は鷹師と仙波東照宮宮司様のご尽力によって、奉納されている鷹絵額12面を見学できることになりました。鷹絵は似たような構図や模写が多いことから近年それほど人気が高くなく、美術的な評価が低い場合もあると聞いたことがあり、企画展の数もそれほど多くないようです。が、鷹匠として絵を見る場合、美術的な価値以上にどのような意図で描かれているのかが興味深いところです。珍しい渡来の鷹、名鷹として鷹主の依頼によって描かれた鷹などの姿に心を惹かれます。
 豊かな放鷹文化が日本に根付いたのは、文化的な生活を送ることのできた鷹主である貴族や大名による庇護の力が大きいですが、ステイタスや献上品として鷹を扱っているだけであれば、維持することは難しかったのではないかと思います。織田信長や徳川家康公のように鷹を愛好する人々がその奥深さを理解し、継続できるよう尽力してくれたからこそ現在に伝えられる美術品や俳句や短歌など、鷹を知らない人々まで文化として共有できるようになったのではないでしょうか。今回見せていただいたのは徳川家光公の時代の絵師、狩野探幽の作品で、生き生きした鷹の表情や高い質感などに触れられる大変貴重な経験となりました。
仙波東照宮の階段
 鷹の心を察するようになればなるほど、その繊細で誇り高い気性に魅力を感じられるものです。美しい鷹に出会うと、その鷹にふさわしい美しい環境を歩きたくなり、さらには麗しい姿を描いて残す、俳句を詠んでみたくなるなど情緒的な感性が研ぎ澄まされるように感じられます。鷹絵は当時の一流の画家が神に捧げようとした思いが込められているものでしょうから、時を越えてそれらも伝えられていくのでしょう。鷹を身近に理解してあげられる存在として、これからも放鷹文化の魅力を伝えていきたいとあらためて思いました。
 ご尽力いただきました宮司様はじめ関係者の皆様に感謝いたしますとともに、遠方より参加してくださいましたワールド・ファルコナーズ・クラブの方にお礼を申し上げます。

鷹犬2008年 8月 31日 (日) 18時 56分
 毎日のように降り続く激しい雨が肌に冷たくなり、犬も散歩をしぶりがちです。8月の終わりとともに、秋の気配が訪れそうです。
 鷹狩に使われる犬を鷹犬といい、御鷹場が保存されていた江戸時代までは、犬牽(犬飼)と呼ばれる専門の人々がその役目を担っていました。日本では家畜を改良して専門的な仕事をする種を作り出すという感覚が薄かったのか、鷹犬といっても拾ったり産まれたりした犬の中から優れたものが使われた程度で、鷹狩専用に交配された日本犬はつくられなかったようです。また獲物の種類によって鷹犬は必ずしも重要ではないため、鷹狩において全国的にどの程度使われていたのかは未だ明らかではありません。現在は犬牽がいないため、鷹匠は自分で訓練しなくてはならず、その時間を取れない人がほとんどです。それでも鷹犬を訓練したい場合、なるべく扱いやすい犬種を選ぶことも大切に思います。
 当保存会鷹匠の多くが使っている鷹犬は鷹師が愛用しているヴィズラの子供たちです。ヴィズラは遊牧民であったマジャール(現ハンガリー)人がウラル山脈を越えて現在のプスタと呼ばれる大平原に入った頃、鷹犬として同行していたと言われるほど、非常に歴史の古い犬種であることが知られています。他の鳥猟犬に比べて運動量が少なく、欧米でも特にオオタカを使用する鷹匠に愛好されています。日本では江戸時代までにさまざまな洋犬が持ち込まれたらしく、猟犬らしい姿も絵に残されています。
生後4か月頃

石田散薬2008年 8月 25日 (月) 21時 58分
 名前を聞くだけで幕末の歴史ファンならおわかりだと思います。新撰組副長として知られる土方歳三の生家で農閑期に作られていた薬です。歳三は石田散薬を売り歩きながら、剣術の稽古にあけくれていたと言われています。戦術に優れ、新撰組を支えたのみならず、組織の枠を超えて最期まで己の生き方を全うしたという印象から、好きな歴史上の人物の一人でしたので、薬のことも以前から知っていました。
 この石田散薬の作り方が今もなお土方家に伝承しているばかりでなく日野市の郷土資料館で実際に製作を体験できると知り、7月と8月の全2回、2カ月に渡って参加してきました。土方歳三資料館では和泉守兼定や発句集など歳三ゆかりの貴重な資料の見学やオリジナルグッズがもらえる特典もあり、まさにファン垂涎の企画でした。
 当日は新撰組ファンや日野宿本陣文書検討会の方など、歴史や郷土史に詳しい方々とお会いできました。作業は7月に薬のもとになる牛額草(俗名ミゾソバ)を刈り取り、洗って天日に干し、8月に葉を摘みとって黒焼きにし、薬研ですりおろすという地道な仕事でしたが、一見単純な作業に見えながら、刈り方や摘み方に個人差があるため、集団で効率良く農作業を行うには工夫が必要であることを実感しました。甲州武士であり日光東照宮の勤番などを務めた八王子千人同心を見て武士に憧れたとされる歳三が、この作業を指揮するのが得意だったという話も良く知られているところです。
お土産の薬
 摘んだばかりの葉を鰹だしと醤油のおひたしにしてみると味に癖がなく、意外と美味しくいただけました。薬は黒焼きにする際に使う酒の加減に工夫が必要で、個々に若干の違いがあるようでした。体力と集中力のいる作業でしたが、初めて使った薬研はすりこぎより扱い易く、疲れも心地よく感じられて非常に楽しい経験になりました。最後に薬の包み方を学び、1包お土産に頂いて帰りました。
 散薬は黒ゴマのような香りと味でそれほど苦くはなく、薬効は若干みられる程度ながら、打ち身や腰の痛み等に効くとして京の屯所では常備薬とされていたようです。早速寝る前に飲んでみましたが、翌朝の体調からみても悪くはなさそうなので、ハーブを取り入れるような感覚で飲み続けてみようかと思っています。ただし、1日3回、酒で呑まないと効果がない、という服用の仕方が悩みの種です。

出会い2008年 8月 25日 (月) 3時 37分
普段はあまり交流のない友人から急に連絡をもらうことや、突然思いもよらない形で応援して頂く場合があります。また何気なく会話をしただけの方から、ある日偶然に不思議な縁を感じる場合もあります。出会いというのは不思議なものです。
 最近、季刊誌iichikoの関係者の方から、鷹匠による人づくりの文化に関する文章を依頼される機会を頂き、このたび掲載の運びとなりました。学術誌として評価の高い同誌に掲載して頂けたことは非常に名誉なことであり、私としても良い励みになりました。
 当保存会の活動を応援し、評価してくださっただけでなく、特集をくんでくださいました関係者の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申しあげます。
表紙 (c)三和酒類株式会社

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