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御鷹場通信は諏訪流放鷹術研究所 所長のブログです
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休日2008年 6月 15日 (日) 22時 47分
 鷹をモチーフにしたお酒は古今東西を問わずよくつくられるようです。特別に企画された日本酒やワインなどを記念にいただくことがありますが、美味しく感じられる間にいただきたくて、たいていはすぐに開封してしまいます。お土産をすぐ開けてしまう人と開けないて取っておく人がいるが、私は前者だというようなことを向田邦子さんが書かれていて、すごく共感したことを覚えています。価値が出てくるまで待つ、ということはできない性分なのかもしれません。
 数日前、知人から体調を崩されて入院するという連絡をもらいました。もともとストレスをためやすいと言うその人は、ストレスの原因となる事柄を避けるよりも真正面から向き合う姿勢を貫いてきたようでした。私にはとてもそのような強さはないと思いました。
 鷹も人間もストレスを受けると免疫力が下がるため、風邪を引くなどして、体調を崩しやすくなります。それを乗り越えるためには、普段から体力を維持しておくことも一つの方法でしょう。鷹のためならかなり忍耐ができる私も、その他のことはあまり我慢しないようにしています。マイペースとよく言われますが、母いわく「人生なるようになる」ものらしいので、遅々としながらも前に進んでいきたいと思っています。リラックス方法は人によって様々だと思いますが、私は睡眠が第一なので、休日はほとんど寝ています。
木の橋の上で昼寝するオナガガモ

鷹道具2008年 6月 09日 (月) 19時 26分
 初夏のような暑さと肌寒い雨の日が交互にやってくる季節になりました。私は風邪でも引いたら大変と、冷え症でもないのに未だに電気カーペットを手放さずに過ごしています。
 オフシーズンの講習会では毎年1〜2つの鷹道具の製作を実施しています。鷹匠にとって必須であるエガケ(革手袋)は日本ではいぶした鹿革で作られ、鷹の足の感覚が拳に直接伝わってくるほど柔らかく、使い込むにつれて手に馴染む感触が心地よいものです。が、傷みやすいのでこの時期に新しい物を作ったり、古い物を修復したりします。人によっては数時間で完成しますが、ゆっくり作っても2〜3日で仕上がります。汚すのがもったいなくて、新しい物をおろすのは次のシーズンにしようと、結局古い物を使ったりします。
 現在当保存会で推奨しているエガケの型は花見先生が宮内庁奉職時代に使用されていたものの傷んでしまい廃棄品となった古いエガケを鷹師がお借りし、解体して型紙をとり、再度縫い直してお返ししたものを利用しています。花見先生は鷹師より小柄な方でしたので、指が大きいか太い男性だと入らない場合もありますが、たいていは外国の方でもフィットするようです。花見先生もそうでしたが、小柄な方でも鷹を据えると大きく見えることがあります。どっしりした風格が鷹匠にも鷹にも備わっていたからかな、と思いますが、以前ある武道家からも似たような話を聞いたことがあり、共感するものがありました。私より小柄だった花見先生よりも鷹から生まれたと言われる名人であった小林宇太郎先生はさらに小柄であったと聞き、写真からはそうは見えないだけに信じられないような気分ですが、一度お会いしてみたかったものです。
道具製作の様子
 今年は皆エガケの作り方を覚えたので、ハヤブサ用の一筋大緒とオオタカ用の大緒を製作しました。エガケに比べると比較的簡単なため、鳩を携帯するための鳩袋も作り始めました。来年は引き続き製作するとともに、別の道具製作に入る予定です。

鷹の生き方2008年 6月 04日 (水) 0時 49分
神奈川県のNPO(特定非営利活動)法人野生動物救護の会のご招待により、特別講演「猛禽のリハビリ」を開催いたしました。関係者の皆様ならびにご参加いただきました受講生の皆様に感謝申し上げます。
 講演では、保護された猛禽を扱う方々にとって有益な情報を意識して話されました。たとえば猛禽の保持、保定の仕方、放鳥前の訓練における判断の指針、継ぎ羽根、緊張や治療後こわばってしまった翼のマッサージ等です。なかでも継ぎ羽根は欠けた羽根を継いで通常の飛行を可能にすることによって狩を助けるもので、流派や猛禽の種類に限らず、どこの国の鷹匠でもこのような基本的な技術を備えています。
 獣医によって治癒した傷病鳥は、放鳥可能な状態かどうかをリハビリによって確認され、再び獣医の判断によって放鳥が決定されます。鷹匠はそのための若干のお手伝いをするに過ぎませんが、最も鷹匠から得られる有効な技術は「ストレスを防ぐ」方法といえるかもしれません。野生の鷹に限らず、繁殖された鷹であっても警戒心や神経質な気性など、本質は変わりません。それが生きていくための本能であり、鷹匠は苦心して心を傷つけないような方法を模索してきたのです。
マッサージの一例
 鷹師は常々「人間が猛禽のためにできることは限られている」とおっしゃいますが、人間が野生動物のためを思ってしてあげる行為は、彼らの望むものでない場合もあります。それでも再び野に帰らせてあげるために、できるだけ彼らが何かされていると意識されることなく手を貸し、力と自信を取り戻してもらえればと思います。
生態系の頂点に生きる鷹は、病気や巣立ちした鳥や小動物等を捕獲することによってピラミッドのバランスを正常に保つ役目を担っています。 小動物や小鳥たちは鷹が巣のそばで狩をしないことを知っていて、鷹の巣のそばに巣をかけてカラス等の攻撃を防ぐなど、共存共栄をはかっています。虫を食べた小動物、その小動物を食べた鷹にはダイオキシンなどの有害物質が高濃縮されていくことになります。鷹が弱った所を見せれば、他の猛禽やカラスらに気づかれてしまい、すぐに殺されてしまいます。そのため、鷹は体調が悪くてもギリギリまで我慢するので、弱って見える時には手遅れということがあるようです。
 野生の鷹が鷹本来の精神を保っている時には、たとえ弱っていても餌をもらうことを拒否し、警戒心をあらわにするものです。人間は鷹がストレスによる緊張やパニックを起こさないよう、短時間に適切な処置を施し、安静に過ごさせて体力の回復をはかるよう配慮する必要があります。が、翼や足を失ったり、衰弱したりした鷹は自分が野生で生きられないことを自覚するのか、別の生き物のように人間に依存するようになる場合があるようです。普段の誇り高い姿を見るにつれ、心身が傷つき人間に依存するしかない鷹の姿は哀れで、見ているだけで辛くなります。私自身が病院に行きたくないほど臆病だからかもしれませんが、救護に携わる方々の強い意志には感心しました。

栄養2008年 5月 30日 (金) 2時 12分
「バラは栄養を与えてやれば、あとは手を貸さなくてもずっと咲き続ける」というのは母の言葉ですが、良く手入れされた庭先に大輪、小輪の薔薇がつぼみをつけています。これから春中次々と開き始め、夏は花芽を取って剪定し、再び栄養を得て秋も半ばまで咲き続けるようです。それでも沢山の大きなつぼみをつけるには何年もかかるそうです。
 バラではありませんが、高校生の頃、戯れに庭の隅に植えたボケが毎年紅い花を咲かせてくれていましたが、15年ほどして初めて沢山の大きな実をつけました。喉に良いと聞き、刻んで焼酎につけたボケ酒をつくってもらうと、甘酸っぱくて美味しくいただけました。私もいつか沢山の実をつけられるように努力したいと思います。
 鷹は花や木々が風にどれほど揺られても気にも留めない風情ですが、木々の隙間からチラチラ見える人の姿はよく観察しています。警戒感を感じた人の顔は覚えているようで背中を向けたりします。鷹を据えて林に入り、木々の隙間から里を眺めてみると、「ああ、こういう感じなんだ」とわずかなら鷹の気持ちを実感することができます。静かで身を隠せる林の中が安心できるのも当然に感じます。逆に里を歩いている時に鷹が林の中を随分見る時には、他の猛禽の視線を感じていることが多くあります。
サイハイランの花
 実演の後、落ち込んで弱音を吐いたためか、お心遣いのあるメールをいただきました。大変うれしく思うとともに、ご心配をおかけして申し訳なく感じました。もう少し自分の心身にも気を配りたいと思います。
 気晴らしに山を歩くと、以前通った時は気がつかなかった野草が花を咲かせていました。サイハイランという蘭の仲間で、武将がふるう采配に似ていることがその由来だそうです。香りも弱く、地味な姿ながらこのような花にも立派な名前がつけられているものだなあと、名づけた方の感性に感心しました。鷹を獰猛に感じる人もいれば繊細に感じる人もいるように、見る人の気持ちによって同じはずの対象が違った存在になるのは、どれだけの愛情や関心を持ってその対象を見ているのかが反映されているのでしょう。
 ちなみに隼の調教も後半になると、狩に導くための上げ鷹仕込みというものを行いますが、この時に鷹匠が使う采配のような房のついた棒を采(ざい)と呼びます。他の鷹道具にも武道に似たような表記や読み方があるものがあり、同じ読み方でいいのでは、とおっしゃった方もいますが、似ているからこそ誤用を避けるため、用途が違う時には呼び方を変えたのではないかと思います。

今季最終実演2008年 5月 27日 (火) 0時 12分
「中原街道時代まつり」における諏訪流放鷹術実演をもって、今季のすべての実演を終了致しました。関係者の皆様ならびにご観覧くださいました皆様に感謝申し上げます。
 中原街道は徳川家康が鷹狩に訪れた時に利用した街道として知られており、実行委員の方々は歴史や文化に対するご理解・ご造詣が深く、今回が3年目となりますが改善を重ねられ、楽しく過ごさせて頂いております。地元のお酒を頂くなど、様々な御配慮にも感謝申し上げます。
 前日から当日の午前中まで降り続いた激しい雨は昼前になって嘘のように上がり、予定通り実演を披露できる運びとなりました。湿度は高いながら気温はあまり上がらず、過ごし易い一日になりました。実演の内容を一言で言うなら、今季最後になって満足のいかない結果になってしまったことが非常に悔やまれてなりません。
実演開始前に2〜3回の輪回りを実施
 実演は鷹を車から出して観客の中を抜け、会場に入るとすぐ実施という流れの中で、鷹が平常心を取り戻す余裕のないままに開始することになりました。若手の門下生たちはとても良く頑張ってくれましたが、私は鷹本来の動きの良さをお見せすることができず、メリハリのない流れを作ってしまいました。鷹師はあきれて言葉もないという表情でしたが黙って主催者に頭を下げに行かれました。そのようなことをさせてしまったことが恥ずかしく、関係者の方々にも申し訳なく思います。
 あえて理由をあげるなら前回の実演以降、都合により十分な据え込み等を行う時間を取ることができず、不定期な調整になってしまったことが最大の原因と言えるでしょう。毎日規則的な調教時間を取れないことは鷹の良いコンディションに繋がらないだけでなく、鷹匠にとっても苦労の割に結果が出ないことになります。鷹は昨年よりも繁殖期のカラスの攻撃性や園内の環境に対して学習した部分が感じられましたが、克服できていない点もあり、来季の課題は山積していると実感しました。
鷹師からも大いに反省を促されることになりました。
 鷹は今日で最後であることを知っているかのように朝出がけに一枚、実演の輪回り中に一枚、次列を抜いて塒入を宣言しました。塒が始まってくれたことは嬉しく、これからはたっぷりと栄養価の高い餌を与えて忘れ飼いをし、悪い記憶やストレスから解放されて良い羽根を作ってもらえるよう健康管理に努めたいと思います。

清水公園22008年 5月 15日 (木) 2時 25分
 今回の実演では森谷鷹匠の希望もあって、鷹匠認定試験の一部を公開する形をとり、各鷹匠がオオタカを連れて参加し、技を披露しました。それぞれの鷹匠が持参した5羽のオオタカの動きはどれも良く、鷹師も安心して見ていられたとおっしゃってくれました。
 神、櫛田門下生が持参したモモアカノスリ、ベンガルワシミミズクともに前回よりも動きが良く、肉色当ての具合がとてもうまくいっていることが見てとれました。
 暑さの中、若干カラスの妨害もありましたが、全体的にスムーズに進行でき、鷹の生き方や動きを十分に知って頂けたのではないかと思います。当日は新たな会員の入会もありました。
実演会場の様子
 実演開催に際して、御尽力いただきました公園関係者の皆様、亀甲萬株式会社、ならびにご観覧くださいました皆様に感謝申し上げます。

清水公園12008年 5月 14日 (水) 2時 39分
 5月6日に実演を行いました清水公園は、説明を伺ったところ千葉県内の娯楽施設ではディズニーランドに次いで年間の観客数の多い公園だそうです。広大な敷地を有する園内には大規模なアスレチック施設が充実しており、キャンプ施設やバンガローなどの宿泊施設などもあって、多くの家族連れが犬を連れて遊びに来ていました。
 今回は午前と午後の2回実施するため朝早く現地に入ったのですが、午前中から初夏の日射しを感じさせました。が、湿度が低くカラッとした暑さの一日になりました。
 会場はアスレチック施設に隣接した広場で、午前・午後を合わせて2000人近くの方にご観覧頂きました。およそ正方形の広場の二辺にロープを張って頂きましたが、林内やアスレチック施設にも多くの利用客がいらっしゃったため、四方を囲まれるような状況になりました。
木陰で待機する鷹匠たち

ヘリテージ・リゾート22008年 5月 13日 (火) 1時 59分
 実演の際は大橋鷹匠が解説と据替を担当してくれ、速やかに進行することができました。また、大橋鷹匠の恩師が駆けつけてくださり、私たちの伝統的な活動を評価し、励ましてくださいました。通常通りのいくつかの技を披露した後、写真撮影などを行って無事終了しました。鷹にもたっぷり水を飲ませて労をねぎらいました。
 ご観覧頂きましたお客様の中には、江戸時代に鷹匠の家柄であったという方がいらっしゃり、懐かしく思われて遠路お越しくださったということで、楽しくお話をさせて頂きました。
 実演後はリゾート敷地内にご用意して頂いたバーベキューやカレー、埼玉のワインなどを大変美味しくいただきました。行き帰りの渋滞もなかったため、早めに帰途につくことができました。
バーベキューの様子

ヘリテージ・リゾート12008年 5月 13日 (火) 1時 52分
 ゴールデン・ウィークに実施されました2つの実演を終了致しました。連休中にも関わらず、多くの門下生が調整に励み、参加しました。実演開催に際して、御尽力いただきましたホテル関係者の皆様ならびにご観覧くださいました皆様に感謝申し上げます。
 5月4日に埼玉県熊谷市で実施されました実演は、ヘリテージ・リゾート内、ホテル正面のチャペル前で実施されました。庭先のアーチには色とりどりの蔓薔薇が咲きほこり、ギリシャ彫刻に見られる天使の翼を模したモニュメントが中央に設置された幻想的な雰囲気が醸し出された美しい空間でした。が、実演場所として見ると広さの関係上、披露できる技がかなり限定されることになりました。
 埼玉県熊谷市はやはりかなり暑い地域のようで、鷹も日陰から一歩出ると口を開けてしまうほど汗ばむ初夏の陽気となりました。
ギリシャ風石柱の六角堂で待機する

敦賀紀行22008年 4月 30日 (水) 16時 14分
 前日の不順な天気と打って変わり、当日は汗ばむような好天で、講演・実演ともに多くの観客が来てくださいました。講演会場では地元の敦賀市文化財保護審議会委員で敦賀市立博物館友の会会長の山本晴幸様から、宗家へ明治7年頃にスケッチされたという笙の橋の絵(作者不明)のコピーが寄贈されました。「兄鷹」の橋は明治時代に「庄」の字を経て現在の「笙」の橋になったということです。明治時代に敦賀県丁前に笙の川が流れており、笙の橋がかかっていたことを裏付ける史料でありますので、許可を得ましてここに掲載させて頂きます。
 実演会場となった緑地公園は海岸沿いにあり、海風やトビ、カラスの群れの妨害などもあって困難な点もありました。が、宗家が解説をされながら技の披露を行ってくださり、根津鷹匠の尽力もあって、順調に実演を実施することができました。あえて難を言うのなら、一点だけ私の鷹に悪い癖が出てしまったことが残念でなりません。その鷹の気性を理解していながら、瞬間的な判断を読み切れなかったことを帰途もひとりで反省しきりでした。温かく見守ってくださった観客の皆様、取材してくださいました地元のメディアの方々に感謝申し上げます。
 カラスは繁殖期には特に縄張り意識が強く、攻撃的になる傾向にあります。今季はまだいくつか実演が残っておりますので、さらなる調整に励みたいと思います。
庄の橋(笙の橋)のスケッチ
 このたびの講演・実演にあたり、敦賀市立博物館の関係者の皆様には大変お世話になり感謝申し上げます。また、観光協会チーフディレクター、地元の歴史研究家の方々、お名前も伺えなかった一般の方々まで、細やかな御配慮をしてくださり、心より御礼申し上げます。実演会場まで車に乗せてくださった方、ありがとうございました。さらにはインターまで先導してくださるなど多大なご親切、ご協力を頂き、感激するばかりです。

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